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【築古】アスベスト壁の見分け方|DIY・リフォーム前に知っておくべき危険性と対策

「自宅のリフォームやDIYを計画しているけれど、壁にアスベストが使われているんじゃないかと不安…」「築年数が古い家だから、一度チェックしておきたい」

もしあなたがそう思っているなら、この記事はきっとお役に立てるはずです。アスベストは、かつて建材として広く使われていましたが、健康への深刻なリスクが指摘されています。特に築年数が古い家屋では、壁材にアスベストが含まれている可能性が否定できません。

しかし、専門家でなくても、ある程度の「見分け方」や「注意すべきポイント」があります。この記事では、アスベスト壁の基本的な知識から、ご自身で確認できる見分け方のポイント、そして、もしアスベストが疑われた場合の具体的な対応策、さらには調査や除去にかかる費用についてまで、分かりやすく解説していきます。

この記事を読めば、あなたの不安が解消され、安全にリフォームやDIYを進めるための確かな一歩を踏み出せるはずです。

アスベストとは? なぜ危険視されているのか

アスベストとは、天然に存在する繊維状の鉱物(石綿)の総称です。その繊維は非常に細かく、熱や摩擦、酸やアルカリに強く、安価であることから、「奇跡の鉱物」とも呼ばれ、かつては建築材料や摩擦材、断熱材など、様々な製品に広く使用されていました。特に耐久性や耐火性に優れるため、建物の壁材、屋根材、天井材、床材などに多用されていました。

しかし、アスベストの微細な繊維が空気中に飛散し、それを吸い込むことで、健康に深刻な被害をもたらすことが明らかになりました。アスベスト繊維は非常に小さく、一度吸い込むと肺の奥深くに留まり、長い潜伏期間(通常10年〜40年以上)を経て、以下のような重篤な病気を引き起こす可能性があります。

  • 肺がん: 肺に発生する悪性の腫瘍で、アスベスト曝露との関連が確認されています。

  • 悪性中皮腫: 肺や心臓などを覆う膜(胸膜、腹膜、心膜)にできる非常に悪性度の高いがんです。アスベスト曝露が主な原因とされています。

  • 石綿肺: アスベスト繊維の吸入によって肺が線維化し、呼吸機能が低下する病気です。

  • びまん性胸膜肥厚: 肺を覆う胸膜が厚くなり、肺の膨らみを妨げることで呼吸機能が低下します。

これらの健康被害は、アスベストを吸い込んだ量や期間によってリスクが高まるとされていますが、少量であっても発症する可能性があるため、非常に危険視されています。そのため、日本では2006年以降、原則としてアスベストの使用が全面的に禁止されました。現在、アスベストが危険視されるのは、過去に建てられた建物にまだ多くのアスベスト含有建材が残っており、それらが劣化したり、解体・改修工事で損傷したりすることで、有害な繊維が飛散するリスクがあるためです。

アスベスト含有建材が壁に使われていた理由と時期

アスベストは、その優れた耐火性、断熱性、保温性、防音性、そして加工のしやすさから、「奇跡の鉱物」と呼ばれ、かつては様々な建材に広く使用されていました。特に、建物の寿命を延ばし、安全性を高める目的で、壁材にも多岐にわたって利用されてきた歴史があります。

しかし、その微細な繊維を吸い込むことで肺がんや悪性中皮腫といった深刻な健康被害を引き起こすことが明らかになり、世界中で使用が規制されるようになりました。日本でも、段階的に規制が強化され、2004年には原則としてアスベスト含有建材の製造・使用が禁止されています。

壁材にアスベストが使われていた主な時期と建材の種類は以下の通りです。

〜1980年頃:アスベスト含有建材が多用された時期 この時期に建てられた建物では、アスベスト含有建材が特に多く使用されていました。壁材としては、主に以下のものが挙げられます。

  • 石綿含有吹付け材(アスベスト含有ロックウールなど):主にビルの天井や壁に断熱・吸音材として吹付けられていました。綿状の見た目が特徴です。

  • 石綿含有スレートボード(波板、平板):外壁材や内壁の間仕切り材として利用されました。セメントとアスベストを混ぜて作られており、強度が高いのが特徴です。

  • 石綿含有ケイ酸カルシウム板:耐火性・断熱性に優れるため、内壁や天井、軒裏などに使われました。

  • 石綿含有ビニル床タイル・シート:床材ですが、壁の低い部分(巾木)にも使われることがありました。

1980年〜2004年頃:徐々に規制が強化され、代替品への移行が進んだ時期 1970年代後半からアスベストの危険性が認識され始め、徐々に規制が導入されていきました。しかし、完全に禁止されるまでは、比較的含有量の少ないアスベスト建材や、代替品が開発・使用されつつも、一部アスベストが残存する製品も流通していました。

  • 石綿含有せっこうボード:内壁や天井材として使われました。石膏ボードにアスベストを混ぜることで、耐火性や強度を高めていました。

  • 石綿含有壁紙下地材:壁紙の下地として使用されるボード類にアスベストが含まれているケースがありました。

  • 石綿含有塗材:外壁や内壁の仕上げ材として使用される吹付け塗材の一部にも、アスベストが含有されているものがありました。

2004年以降:原則アスベスト含有建材の使用が禁止 2004年10月1日以降は、原則としてアスベストを1%以上含有する建材の製造・使用が禁止されました。そのため、2004年以降に建てられた建物や大規模な改修が行われた建物では、アスベスト含有建材が使用されている可能性は極めて低いとされています。

しかし、古い建物の解体やリフォームの際には、以前の建材が残っている可能性も考慮する必要があります。特に、築年数が古い建物の場合、壁材にアスベストが含まれているリスクは高まるため、リフォームや解体工事を行う前には必ず専門家による事前調査が義務付けられています。

アスベスト壁の見分け方:自分でチェックするポイント

自宅の壁にアスベストが含まれているかもしれないと不安に感じている方のために、ご自身で確認できる見分け方のポイントを解説します。ただし、ここでご紹介する方法はあくまで簡易的なものであり、最終的な判断は専門家による調査が必要です。

築年数から推測する

アスベストが建材として広く使用されていた時期を知ることは、アスベスト含有の可能性を推測する上で非常に重要です。日本では、高度経済成長期から1970年代にかけてアスベストの輸入・消費量がピークを迎え、様々な建材に利用されていました。

本格的な規制が始まったのは1975年の特定化学物質等障害予防規則の改正からですが、建材への使用が全面的に禁止されたのは2006年です。そのため、2006年以前に建てられた建物、特に1970年代から1990年代初頭に建てられた建物では、アスベスト含有建材が使用されている可能性が高いとされています。

したがって、自宅の築年数が古い場合は、壁材にアスベストが含まれている可能性を念頭に置いておく必要があります。建築時の設計図書や建築確認済証などで竣工年を確認してみましょう。

建材の見た目と素材から判断する

アスベスト含有建材には、いくつかの特徴的な見た目や素材感があります。壁に使われる可能性のある主なアスベスト含有建材と、その見分け方のポイントは以下の通りです。

  • 石綿含有スレート(波板、平板)

    • 特徴: セメントとアスベストを混合して作られた板状の建材で、屋根材として有名ですが、外壁材や内壁材として使われることもありました。表面は硬く、繊維質が混じっているように見えることがあります。

    • 見た目: 灰色が一般的ですが、着色されたものもあります。経年劣化で表面が白っぽくなったり、苔が生えたりすることがあります。

    • 注意点: 割れたり欠けたりした部分から内部の繊維が見えることがありますが、触るのは危険です。

  • ケイ酸カルシウム板(けい酸カルシウムばん)

    • 特徴: 耐火性や断熱性に優れるため、内壁や天井、間仕切り壁などに使われました。アスベストが補強材として添加されていることがあります。

    • 見た目: 石膏ボードに似た、比較的均一な白い板状の建材です。表面は滑らかですが、ザラつきがあるものもあります。

    • 注意点: ボードの小口(切断面)から繊維が見えることがあります。

  • フレキシブル板

    • 特徴: 曲げに強く、薄い板状の建材で、内壁や天井、外壁の下地材などに使われました。

    • 見た目: 灰色や白っぽい板で、表面は比較的滑らかです。繊維質が目立つことは少ないかもしれません。

    • 注意点: 破損した際に粉塵が発生しやすい特性があります。

これらの建材は、劣化が進むとひび割れや欠けが生じ、そこからアスベストが飛散するリスクが高まります。見た目だけで完全に判断することは難しいですが、上記の情報を参考に、不審な点がないか注意深く観察してみてください。

建材の品番やメーカー名を確認する

壁材の裏側や側面、あるいは露出している部分に、製造メーカー名や製品の品番が記載されている場合があります。これらの情報が確認できれば、アスベスト含有の有無をより具体的に調べる手がかりとなります。

確認したメーカー名や品番を基に、以下の方法で情報を収集してみましょう。

  • メーカーのウェブサイトを確認する: 多くの建材メーカーは、過去の製品情報やアスベスト含有に関する情報を公開しています。

  • アスベスト含有建材データベースを参照する: 国や地方自治体、専門機関が提供しているアスベスト含有建材のデータベースが存在します。

  • 既存の設計図書や竣工図を確認する: 建物が建てられた当時の設計図書には、使用された建材の種類が明記されていることがあります。

これらの情報源を活用することで、ある程度の判断が可能になりますが、記載がない場合や情報が見つからない場合も少なくありません。その際は、専門家への相談を検討しましょう。

アスベストが疑われる場合の具体的な対応策

自宅の壁にアスベストが含まれているかもしれないと感じたら、不安になるのは当然です。しかし、適切な知識と対応策を知っていれば、安全かつ確実に問題を解決できます。ここでは、アスベストが疑われる場合に取るべき具体的な行動について解説します。

専門業者への相談・調査依頼

ご自身でアスベストの有無を判断するのは非常に難しく、また危険を伴う可能性もあります。そのため、少しでもアスベストが疑われる場合は、必ず専門業者に相談し、調査を依頼することが最も重要です。

専門業者を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてください。

  • アスベスト調査の実績が豊富か: 過去の調査実績や、有資格者が在籍しているかを確認しましょう。

  • 適切な資格を保有しているか: 「建築物石綿含有建材調査者」などの専門資格を持つ担当者がいるかを確認してください。

  • 複数の業者から見積もりを取る: 費用や対応内容を比較検討し、納得のいく業者を選びましょう。

専門業者に相談する際は、以下のような質問を準備しておくとスムーズです。

  • 「この建材はアスベストの可能性がありますか?」

  • 「調査にはどのくらいの費用がかかりますか?」

  • 「調査期間はどのくらいですか?」

  • 「調査の結果、アスベストが検出された場合、どのような対策が必要になりますか?」

  • 「除去工事まで一貫して依頼できますか?」

アスベスト調査の種類と費用相場

アスベスト調査にはいくつかの種類があり、それぞれ調査内容と費用が異なります。

  • 事前調査(目視調査):

    • 内容: 建築物の図面や過去の記録を確認し、現場を目視で確認してアスベスト含有の可能性を評価します。非破壊で行われるため、費用は比較的安価です。

    • 費用相場: 5万円~15万円程度(建物の規模や複雑さによる)

  • 分析調査(検体採取・分析):

    • 内容: 事前調査でアスベストの可能性が高いと判断された建材の一部を採取し、専門機関で詳細な分析を行います。偏光顕微鏡法やX線回折法などの方法が用いられ、アスベストの種類や含有率を特定します。

    • 費用相場: 採取する検体数によりますが、1検体あたり2万円~5万円程度。

これらの費用はあくまで目安であり、建物の規模、調査箇所、採取する検体の数、業者によって変動します。また、調査の結果、アスベストが検出された場合は、除去や封じ込めといった追加の対策が必要となり、別途費用が発生します。

DIYやリフォーム前に確認すべきこと

DIYやリフォームを計画する際には、アスベストに関する法的な義務と安全上の注意点を必ず確認しておく必要があります。

  • 事前調査の義務: 2022年4月1日以降、一定規模以上の建築物や工作物の解体・改修工事を行う際には、アスベストの事前調査が義務付けられています。これは個人宅のリフォームであっても、建材の除去や損傷を伴う場合は対象となる可能性があります。必ず専門業者による事前調査を実施してください。

  • アスベスト含有建材の損傷を避ける: アスベストは、建材が損傷したり、削られたり、切断されたりすることで、微細な繊維が空気中に飛散しやすくなります。飛散したアスベスト繊維を吸い込むことが、健康被害の主な原因です。疑わしい建材には絶対に手を出さず、損傷させないよう細心の注意を払ってください。

  • 作業の中止と専門家への連絡: もし、DIYやリフォームの作業中にアスベストの可能性のある建材を発見したり、損傷させてしまったりした場合は、直ちに作業を中止し、その場から離れてください。その後、速やかに専門業者に連絡し、指示を仰ぎましょう。決してご自身で対処しようとせず、専門家の介入を待つことが重要です。

アスベスト除去・封じ込め工事について

アスベスト含有建材が確認された場合、その状態やリスクに応じて「除去」または「封じ込め」といった対策工事が必要です。ここでは、それぞれの工事内容と費用目安、そして業者選びの注意点について解説します。

除去・封じ込め工事の費用目安

アスベストの除去工事と封じ込め工事は、どちらも専門的な技術と厳重な安全管理が求められるため、高額になりがちです。費用はアスベストの種類(レベル1~3)、飛散性、量、建材の種類、作業環境(高所作業の有無、周辺環境への配慮など)によって大きく変動します。

一般的に、除去工事はアスベスト含有建材を完全に撤去するため、飛散防止対策や特別管理産業廃棄物としての処理費用がかかり、1平方メートルあたり2万円~8万円程度が目安となります。これには、養生費用、除去作業費用、廃棄物処理費用などが含まれます。建物の状況やアスベストの量によっては、総額で数十万円から数百万円に及ぶことも少なくありません。

一方、封じ込め工事は、アスベスト含有建材を建物の内部に閉じ込める方法で、除去工事よりも費用を抑えられる場合があります。1平方メートルあたり1万円~5万円程度が目安ですが、あくまでアスベストを「残す」方法であるため、定期的な点検や管理が必要になります。

自治体によっては、アスベスト調査や除去工事に対して補助金制度を設けている場合があります。費用負担を軽減できる可能性があるため、お住まいの自治体の窓口や専門業者に相談してみることをおすすめします。

専門業者選びの注意点

アスベスト除去・封じ込め工事は、専門的な知識と技術、そして適切な資格を持つ業者に依頼することが非常に重要です。悪徳業者による不適切な工事は、健康被害のリスクを高めるだけでなく、法的な問題にも発展しかねません。業者選びの際は、以下の点に注意しましょう。

  • 特定建築物調査員等の資格保有: アスベストに関する専門的な知識と技術を持つ資格者が在籍しているか確認しましょう。

  • 豊富な実績と経験: 同様の工事実績が豊富で、適切な施工計画を提案できる業者を選びましょう。

  • 見積もりの透明性: 工事内容、費用内訳が明確で、追加費用の発生条件などを事前に説明してくれる業者を選びましょう。安すぎる見積もりには注意が必要です。

  • 適切な飛散防止対策: 養生や作業員の保護具、廃棄物の処理方法など、アスベスト飛散防止のための具体的な対策について説明を求めましょう。

  • 賠償責任保険への加入: 万が一の事故に備え、適切な賠償責任保険に加入している業者を選ぶと安心です。

  • 複数の業者から見積もりを取る: 複数の業者から相見積もりを取り、比較検討することで、適正価格やサービス内容を見極めることができます。

DIYでアスベスト建材を扱う際の危険性と注意点

ご自宅の壁にアスベストが含まれているかもしれないと疑いがある場合、DIYで解体や除去を試みることは絶対に避けてください。アスベストは非常に微細な繊維であり、一度空気中に飛散すると目に見えないまま長期間浮遊し、吸い込むことで深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

アスベスト含有建材を誤って破損させると、その繊維が周囲に広がり、ご自身だけでなくご家族や近隣住民の健康をも脅かすことになります。特に、電動工具を使用したり、建材を強くこじ開けたりする行為は、アスベスト繊維を大量に飛散させる原因となるため、大変危険です。

アスベストの除去や封じ込め作業は、専門的な知識と技術、そして専用の保護具や飛散防止措置が不可欠です。作業環境を厳重に管理し、飛散したアスベストを適切に処理しなければなりません。これらの作業は、一般の方がDIYで行うにはあまりにもリスクが高すぎます。

もし、ご自宅の壁にアスベストが使われている可能性がある場合は、必ず専門のアスベスト調査会社や除去業者に相談し、適切な対応を依頼してください。専門業者は、アスベストの有無を正確に判断し、安全かつ法規制に則った方法で処理を行います。ご自身の健康と安全、そして周囲への影響を考慮し、DIYでの対応は控え、プロに任せるようにしましょう。

まとめ:安全な住まいづくりのために

この記事では、アスベスト壁の見分け方から、その危険性、そして具体的な対応策までを詳しく解説してきました。築年数の古い建物にお住まいの方や、リフォーム、DIYを検討されている方にとって、アスベストは決して軽視できない問題です。しかし、適切な知識と行動があれば、そのリスクを最小限に抑えることができます。

ご自身でアスベストの有無を完全に判断することは困難ですが、この記事で紹介した「築年数」「建材の見た目」「品番」といったポイントは、初期的な判断材料として非常に有効です。もし少しでもアスベストの可能性があると感じた場合は、ためらわずに専門業者へ相談し、正確な調査を依頼することが何よりも重要です。

アスベストは健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、安易な自己判断やDIYでの除去は絶対に避けてください。専門家による正確な調査と適切な処理によって、ご自身とご家族の健康、そして住まいの安全を守ることができます。

安全で安心な住まいづくりのために、この記事が皆様の一助となれば幸いです。