ちょっとひといき連載「あこがれの大家さん」②

 

「悠々と見えるかもしれんけど大家も大変で、悩みもいろいろあるんやわ」

こないだ大家さんが言ってたけど、大家さんになんの悩みがあるんやろ？

僕は社会人３年目のサラリーマン。大家さんという仕事のことは想像もできない。

でも、「大家さんって家賃が入いるし、サラリーマンみたいに時間にしばられることもないし、大家さんになりたいな～」って、

あこがれていた。

 

ある日曜日、トイレの電球と目覚まし時計の電池を買いに近くのホームセンターに来た。

店内をキョロキョロと見ていたら、なんと大家さんを発見。

「よ～し、今日は僕のほうから元気に挨拶をしよう」と近づいていくと大家さんが振り返った。

「お～、福山さん、こんにちは！」

あ、また先を越された(-_-;)

 

大家さんはアパートのフェンスを修理するための材料を買いに来たようだ。

「小さな修理は私がやらないと業者に頼むと高くつくからね。大変やけど、節約節約！」

お、これが大家さんの悩みか？って思ったけど、こんなことじゃないね。

 

帰りは大家さんと喋りながら歩いた。

「大家さんってどんな悩みがあるんですか？」

「遠慮なしに聞いてくるね（笑）」

「あ、すみません・・・」

「そうやな～、実は私には娘と息子がいてね。どちらかにアパートを継いでほしいんやけどなぁ～」

へ～、僕が息子なら大喜びやけどなぁ。って他人事ながらウキウキしていると、

「ところがね、どちらもその気はまったくなくて、私が死んだあと不動産や遺産はどうなるのか心配でね」

お、なんとも返事がしにくい話になってきた。

「そ、そうですよね。それは心配ですよね」というのが精一杯で焦った(;’∀’)

「あ、すまんすまん。なんか変な話になったかな」

「いえいえ、聞いたのは僕のほうですから。でも、そういうのって専門家に相談したらいいんじゃないですか？」

「専門家かぁ、なんか敷居が高いけどそれがいいのかもね。」

 

 

（つづく）